30代中盤の私が10歳以上年下の後輩からの『君付け』呼びされた時の話。

コラム

 

最近、10歳も離れてる後輩に「君付け」されて違和感があったが、

ある例え話をしたら改善されたのでここに書き記してみる。

 

 

 

年下との接し方

 

 

そもそも私は年下は苦手だ。

なぜなら、一人っ子で育ったからである。

距離感がわからない。

年上は何となく文句を言わずに話を聞いていれば、ある程度仲良くなれるが

年下に関してその逆で、話しかけないと接点を取れない場合が多い。

話すことも無いのに、何話すねん。

そもそも、仲良くならんでええやろ。

的な感性である。

 

その苦手意識も、数多くの先輩方の

私に対する接し方を見て多く学んだのである程度は改善された。

こういうのは瞬間的にハッとする学びというより、

時間を共有して言語や要求のシャワーを浴びて身体に馴染んでるかどうか?

というものも大きく関わってくると思う。

その点は、地元の消防団などに入っていて良かった部分でもある。

思い出が参考書になる。

 




 

 

そんな矢先、職場に新入社員が入って来た。

田舎の職場では滅多に若手を雇わないので貴重な人材である。

 

ヤンキーが来たら、どうしようなんて思っていたが、

入ってきたのは、20代前半の爽やか青年であった。

少し、眩しい。

都会に居たらしいが、地元に帰ってきたらしい。

 

 

根本的に真面目系オタク気質だった私からすれば、縁遠い人間である。

感覚も違い、彼はおそらくイケイケドンドンであろう。

ただ、救われたのは、素直であるという事。

まあ、様子を見られているだけかも知れないが。

教育係的なポジジョンになったので、業務を教えたりしている。

仕事も意欲的であり、その意欲を失わせないよう教えている。

「鉄は熱い内に打て」というが、

熱い内に誰も打たなくて感性が組織人として育つ前に冷めてしまった人を何人も見てきた。

今回は、私の接し方次第で彼の方向性が変わる可能性があるので、注意を払っているつもりだ。

なので、ある程度は信頼関係も出来てきたのだろう。

 

不快と言う程でもないが小さな違和感がある

 

「〇〇くんはテニスとかしないんですか?」

後輩である彼は私にそう語りかけてきた。

それも、とても親しげな感じである。

 

 

なぜ、年上にナチュラルに君付けできるねん。

とまず思う。

それともあれか、

俺ってやっぱり威厳とかない舐められやすいタイプなんであろうか。

親しくなるのは、やはり業務上不必要な事なのだろうか。

 

など、一瞬考える。

 

私がもし気が立ってる状態であるならば、

『お前はジャニーズかいツ!!』

などと突発的に言ってしまうが、気が立ちやすい性格ではない。

何か瞬間的に沸点が上がって、自分の感情の琴線を刺激されただけで本気で怒る人が羨ましい限りだ。

少なくてもそういう人は舐められにくいはずである。

ただ、面倒くさい事が舞い込んでこないように、誰にでも怒りを奮っているなら組織人として問題であろうが。

 

 

 

 

話を戻そう。

数歳年下の子であれば、そういう事が良くあった。

女の子の場合は、また問題が違うので直属でない限りほっといているが

男の子でもアプローチの仕方がわからず結局ウヤムヤになってしまっている。

そういう時にはやはり、衝動的に不愉快そうな態度を取らなければならないのだろうが、

私にとっては不愉快という程でもなく『小さな違和感』なので

ついうっかり流してしまう。

 

 

今回は直属の後輩にあたるので、こういう感情面での些細な問題は対処しておきたい。

だが田舎の会社でもあるので、私が遣っている言葉も「方言敬語」と言われるもので、近い感覚であれば家族兄弟間で話すようなニュアンスである。

方言でないと、コミュニケーションが取りづらい部分が多いのだ。

 

取り合えず、会話を続けてみて、何気なく聞いてみた。

 

 

年下から言われて嫌な呼ばれ方

 

話を聞いていると

どうやら、あまり親しくない人であるならば『さん』付だが

親しくなって来るとそれは冷たさを感じるらしい。

なので親しくなってくると『くん』と呼ぶと言う。

学校の先輩にも言っていたとの事なので、それが現代の若者の感性なのだろう。

 

 

それとなく、

『ここは田舎だから年上に君付けは、良い印象持たれないよ』

『俺もあんまりいい気分ではないし』

と伝えてみる。

 

「…ああ、そっすよね。」とリアクションされる。

説教モード風になってしまったか。

彼は素直なので、君付けはやめるだろう。

だが、何か説得材料、というか感情面での納得感が根本的に足りない気がする。

頭でこう言われたからダメらしい、と形だけ改善するより

この『小さな違和感』を共感して腑に落ちてもらった方が良い。

 

何かいい手はないだろうか?

例えば、逆の立場だったらどうか?

 

 

年上から言われて嫌な呼ばれ方

 




私は

「先輩からさ、『お前』って呼ばれるのって、どう?」

と、ふと思いついて聞いてみた。

 

すると彼は、「あー、それはなんか嫌ですね」と話す。

私は彼に

「先輩が年下に『君付け』されるのって、おそらくそういう感覚だと思うよ」

と告げた。

「俺もたまに、『お前』って言ってるから、今『アナタ』呼びに強制してんだよね。まあ、口癖だからたまに出ちゃうんだけど」

 

なんて続けて喋っていながら気づいたが、

ああ、彼もそういう感覚でこちらを君付けしてしまったのではないだろうか?

もしそうであれば、私は「そんな小さい事気にすんの?」という感覚であるが、

そもそもの発端は

私が後輩からの「君付け」が気になる感情がある事である。

 

これは、大きな発見であった。

自分がされるのと、自分がするのでは、こうも感じ方が違うのかと。

 

私の個人的な感覚であれば、

年上から「お前」呼びされても一向に構わない。

もちろん、ニュアンスにもよると思うが、

例えば先輩から

「お前、まーだ結婚せんとな?」なんて聞かれても普通の感覚である。

ただ、ここで1つ感じたのは、

この場合の「お前」も少し方言感覚である。

ご年配の方で相手の事を「わーが」とか「うぬ」とかそういう呼び方をしているのを聞いたことがあるが、

「お前」もその延長線上なのであろう。

ようは、信頼関係の有無で、相手からの呼ばれ方の快不快が決まるのであろう。

 

そう考えると、親しくなったから「君」呼びしてくる年下はどうなのだろう?

それは、やっぱり、違和感がある。

信頼関係の有無とかでなく、年下から言われる「くん」呼びは、

なんかイヤ! 笑

 

 

組織と言うヒエラルキーを考えての事もあるが、

個人的になんかイヤなのであるなあ。

物事の判断は、常に感情が先立って論理がそれっぽい後付けされるらしい。

つまるところ、嫌なもんはイヤ 笑

 

 

人の振り見て我が振り直せ

 

ただ、お互いが不快にならない対処方は見つかった。

これを交渉だと考えれば、譲歩のカードを1枚ずつ譲りあったのだ。

彼は私を「くん」呼びしないであろうし、

私も彼を「お前」呼びしないよう心がける。

 

でも、つい出ちゃうよな。とも思うので、

私もあまり気にしないようにしよう。

 

「人のふり見て我が振り直せ」という言葉があるが、

まさにそれを地で行った話であった。

 

 

 

 

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